Psykelopedia

サイケデリックトランスやゴアトランスの曲やアーティストをおすすめします。

全力でオススメするサイケデリックトランスアルバム17選!

どうも、Psykeです。

この記事は、このブログで紹介してきたサイケデリックトランスアルバムをまとめたものです。各アルバムの詳細な紹介を見出し下のリンク先の記事で書いていますので、ぜひ覗いていってください!

 

Astrix - He.Art (2016)

Nano Records勢力を中心として、スタイルの画一化・マンネリ化が起こり、サイケデリックトランス全体に波及していたように思われます。そこにAstrixのこのアルバムがリリース。獣や鳥の声、シャーマニズムなど、ジャングルを意識した一貫したテーマ設定のもと、変化豊かなフルオンサイケデリックトランスがレイアウトされています。アルバムとしての完成度、そしてフルオンサイケとしての斬新性、その2点が高く評価されています。

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Vini Vici - Future Classics (2015)

Vini Viciはサイケ大国として有名なイスラエル出身の2人組で、2016年前後から急速に有名になりました。Vini Viciの爆発的人気を支えるのは「回転力・推進力のある充実したベースライン」と「ギャロップとトリプレットを織り交ぜた独特の曲展開」。 最初のフルアルバムであるFuture Classicsでは、彼らの王道スタイルで構築された「The Tribe」のほか、プログレッシブに挑戦した「It’s Here」、オフビートを進化させた「Talking With UFOs」なども収録されています。王道スタイルだけではない、Vini Viciの汎用的な技術力の高さを感じられるアルバムです。

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LOUD - 5 Billion Stars (2016)

イスラエルのアーティストユニットLOUDによる、民族的な音を多用する「トライバルサイケ」と呼ばれるサイケデリックトランスアルバムです。アフリカやオーストラリアの原始的な音楽やその精神性をテーマにしています。ビートの刻み方やサンプリングに、他のアーティストの他の作品とは全く異なる「臭さ」があり、アルバムとしての純度が非常に高い作品になっています。LOUDは現代サイケ勢の中でも特にゴアトランス的な有機性を大事にするアーティストです。このアルバムはそんな彼らの熱い信念を感じさせます。

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MVMB - The Sleeper Must Awaken (2016)

MVMB は2人のデンマーク人アーティストMartin ViceとMichael Banelによるユニットです。それぞれVice、Behind Blue Eyes など、個人での活動も行っています。「The Sleeper Must Awaken」は2016年3月にリリースされたMVMBのデビューアルバム。宇宙のような深い空間性と、普通のサイケには無い「ズレ」で楽しませるという徹底したコンセプトのアルバム。これがデビュー作?と思ってしまうほどの驚くべきクオリティーです。全体としてはダークサイケに似たミニマルな雰囲気で統一されていますが、ダークサイケほど賑やかではなく、静かな立ち上がりからクールに各曲を仕上げます。

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Dreamstalker - Memory (2016)

Dreamstalker(ドリームストーカー)は2012年にデビューしたアーティスト。ハイテクに近い高速系ダークサイケ、ゼノネスク的な技巧系ダークサイケ、そして今回紹介するMemoryのようなダウンテンポ系ダークサイケなど、ダークサイケを舞台に多様なスタイルで作品を作るアーティストです。自身の作風のことを「Exotic Trance」と形容しています。

「Memory」は、2016年にリリースされたDreamstalkerの5thアルバム。この作品の特徴は、空気遠近法的な奥行き感・浮遊感のある音づかい。アルバム全体を通して、人間の意識や無意識、夢、記憶といったようなものがテーマになっていますが、それらの取り留めのないイメージが意識の空間の中で自由に動き回るような豊かな空間性を生み出しています。

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Suntree - Inside (2009)

Suntree作品の特徴は2つあると思います。1つは独特のクセがあるシンバル挿入術。通常は四つ打ちのようにキックとシンバルをある程度実際の楽器の演奏法に近づけるものですが、Suntreeはそれを無視した位置に音を挿入した癖のあるリズム感覚を好みます。そしてもう1つの特徴は、ベースラインと相性の良いメロディーを用いることで生まれるねっとりとした空間性。こういったSuntreeのトレードマーク性が凝縮されているのが、2009年にリリースされたこのデビューアルバム「Inside」。ぜひその中毒性の高いサイケデリック空間をご賞味あれ。

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Pspiralife - Wabi Sabi (2016)

Zenon Recordsで活動するオーストラリア出身のアーティストPspiralife(スパイラライフ、本名Shayne Rogers)の3rdアルバム。ゼノネスクサイケらしいミニマルさとダークな雰囲気を禅の侘び寂びのイメージに重ね合わせて作り上げた、実に表現力豊かなアルバムになっています。踊れる踊れないを超越した現実とはまた異なる世界観を感じさせる作品です。

この作品に関しては聴いてもらうのが一番です。ぜひ下のリンクから!

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Florian MSK - Star Freighter (2019)

Florian MSKはフランス出身のアーティスト。彼の作品の特徴は卓越した技術力をベースにした完璧な空間構成力です。作品1つ1つに「物理的な空間」があります。これはイヤホン・ヘッドフォン越しに体験していただかないと分からない感覚ですが、一度聞けば100%理解していただけると思います。

Florian MSKは自分の作風を「ダークテクノ」と呼んでいます。その名から想起される通り、彼の作品は寒色系のインダストリアルなオーラで完璧に統一されています。いわば一切人間味がない音楽です。しかし最新作のStar Freighterには、色々な意味で過去のFlorian MSKの作品と比べて人間味があり身体性が高いように感じます。

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Astral Projection - Amen (2002)

Astral Projectionは1993年から活動しているイスラエルの2人組ユニット。ゴア・サイトランスの安定の王者としての地位を築き上げているアーティストです。Astral Projectionは日本語ではアストラル投射といい、精神を肉体から分離して別世界を旅するという概念を指します。ゴアトランスのトリッピーな要素、そして現代的なサイトランスの流行やタッチ。その2つが合わさった旅を用意してくれるアーティストです。

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Bitkit - Convoluted Universe (2018)

Bitkit(ビットキット)、本名Günther Wyckmansは、ベルギー出身のアーティスト。2006年にデビューしています。フルオンサイケを得意とするアーティストですが、2018年リリースのこの作品では、いわゆるフルオンに特徴的な音が割れていくような上層音メロディーではなく、Static Movementがそうであるような、和音構成を重視したメロディックフルオンサイケに挑戦しているように思えます。メランコリックな雰囲気を漂わせたフルオンサイケという括りではとても優れた作品だと思います。

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Twinsonic - Chrysalis (2014)

Twinsonic(ツインソニック)、本名Kolbeinn Gíslasonはアイスランドレイキャビク出身のアーティスト。2005年からサイケを作り始め、2014年にアルバム「Chrysalis」をBandcampで発表しました。この作品の特徴は、穏やかで上品な上層音メロディー、そして抜群の低音EQ力です。TwinSonicの作品は主としてメロディックフルオンですが、喧騒が特徴ともいうべきイスラエル的なそれではなく、落ち着いた雰囲気と上品さを持っています。また、上層音のセンスだけでなく、低音まで含めた全体的なバランス感覚も特に良いです。

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ETN - Extinctive (2020)

ETNはZenon Recordsでは珍しいイスラエル出身のアーティストで、パリで活動しています。Zenonはテクノ寄りの無機質な作風のアーティストが多いですが、Pspiralife、Smilk、Klipsunなど、テクノやミニマルに軸足を置きながらも有機的なサウンドを模索するアーティストもいます。ETNも有機的な表現を模索しているアーティストのように思えますし、今回紹介するExtinctiveも、無機性の中で有機性を構築しようとする試みだと思います。現代技術による高音質な有機性をぜひご賞味あれ。

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Corkscrewed - Submarinated (2020)

フィンランドのレーベルAntiscarp Recordsからリリース。CorkscrewedはレーベルオーナーVille RuohoMats Lemström二人が組んだユニットです。最近のサイケ、特にプログレサイケでは、曲の途中にブレイクを設けるのが一般的になっています。それに対してCorkscrewedのこのアルバムは、キックや低音を終始止めない作風が特徴的です。そうなってくると通常はテクノと区別がつかなくなってきます。しかしSubmarinationを聴くとやはりテクノとは違う有機性があり、また面白いサイケだなーという印象を受けました。

 

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Son Kite - Prisma(2014)

2004年にリリースされたアルバム「Colours」から10年の時を経てリリースされたSon Kiteの4thアルバムです。Marcus HenrikssonとSebastian Mullaertの二人からなるSon Kiteスウェーデンのユニット。アルバム「Prisma」の特徴は、ゆったりとした展開から立ち上がる精緻で有機的な風景です。曲は最も短いものでも8分、長いものでは14分以上あり、トランスマニアとしては大喜びの充実したトラックが詰まっています。視界の解像度が上がっていくような表現、視界の中を微生物たちが行き来していくような表現など、統一されたコンセプトの中で幅広い表現が実験されています。

 

Apach - Wildlife(2020)

ApachことMarco Adamはドイツのアーティスト。Quarks、We Areなど過去に数枚のアルバムをリリースしている、安定感のあるアーティストです。Apachの作風はアルバムによって若干変わるのですが、基本的に一貫しているのは、トライバルでありながら現代的な中性的なスタイルと、独特のリズム感覚・効果音テクニックです。特に今回紹介する最新作「Wildlife」は過去のアルバムと比べてもトライバル色がかなり強く、他のアーティストでは聴いたことのない独特な味がある、非常に興味深い作品だと思います。ぜひ聴いてみてください。

 

Maan - Floral Cortex(2020)

アルバムを通して強いテーマ性を貫いている作品は少なく、かつ、その一つのテーマの中で多種多様なスタイルを使いこなしているものは、本当に稀ではないかと思います*1。Maanのこのアルバムはまさにそこに合致します。それだけでなく、ウェットであると同時にドライ古典的であると同時にプログレッシブであるなど、非常に多面的な作品です。アンビエントを挟む劇的な構成も挑戦的。ぜひ聞いてください。

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Dark Whisper - Realms of the Unseen(2016)

Dark Whisperはダークサイケ/ハイテクサイケを作るイタリアのアーティスト。サイトランスという時点で既にジャンル的制約が多いですが、その中でもハイテクサイケは特に制約が多い印象です。BPMと使用される効果音は概ね固定で、プログレッシブサイケのような低音の遊びの余裕もありません。それでもPsykovskyやKindzadza、Marambaなどの著名アーティストはやはり聴いてそれと分かる何かを持っています。Dark Whisperに関してもそれは同じで、Realms of the UnseenはDark Whisper的なものをよく代弁する作品の密度が特に高いです。アルバム後半に向けてBPMが上がっていくような構成で”アルバム上のどこにでも棲める”のも魅力的ですね。

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*1:他には例えばAstrix - He.Art、Loud - 5 Billion Starsなどが挙げられる。いずれもこのブログで紹介済なので興味ある方はぜひブログ内検索を