Psykelopedia

サイケデリックトランスやゴアトランスの曲やアーティストをおすすめします。

ドライとウェットの交配品種【Maan - Floral Cortex】

どうもどうもPsykeです。久しぶりのアルバム紹介!今回も完成度の高いユニークな作品を紹介しようと思います。

 

Maan - Floral Cortexについて

MaanことFrode Ungarはノルウェーのアーティストで2014年*1から活動しており、2020年リリースの本作がデビューアルバムとなっています。北欧のアーティストと聞くとまずはテクノ色の強い落ち着いた雰囲気が連想されますが、Maanはそうではありません。

アルバムを通して強いテーマ性を貫いている作品は少なく、かつ、その一つのテーマの中で多種多様なスタイルを使いこなしているものは、本当に稀ではないかと思います*2。Maanのこのアルバムはまさにそこに合致します。それだけでなく、ウェットであると同時にドライ*3古典的であると同時にプログレッシブであるなど、非常に多面的な作品です。アンビエントを挟む劇的な構成も挑戦的。ぜひ聞いてください。

 

Maan - Mother Moss

まずはMother Mossからでしょう。このアルバムで一番好きな曲です。

この曲のために開発されたといっても過言ではない、腹の底が指で弾かれるような低音と、そこから徐々に剥離していく上層効果音が意識に粘着します。ドライであると同時にウェットな、アルバム全体に通底する独特の質感を代表する作品です。

 

Maan - Instant Equilibrium

アルバム3番手です。縦に深く刺されたキックの間に挿入されたベースが生み出すズレによって、足先から頭まで順を追ってゆさぶられるような感覚を生み出します。微妙な効果を与えた上層音を反復しているだけなのに飽きさせないのも不思議。どこかMan With No Nameに似ている気がしますね。

 

Maan - Red Relic

そして最後はやはり、振り切ったこの作品に言及せざるを得ません。

ここまで紹介してきた曲は王道的なサイケ感覚に訴える非王道的な作品ですが、Red Relicはキックと同期させたベースを引き伸ばした斬新なスタイルで、ともすればオフビートにもなりうる作品ですが、トランスならではの横揺れを担保しています。

 

ブログのスタイル上三曲で止めておきますが、良さという点では他の曲と僅差です。アルバムで買う価値あり!

 

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*1:https://www.discogs.com/ja/artist/4295719-Frode-Ungar

*2:他には例えばAstrix - He.Art、Loud - 5 Billion Starsなどが挙げられる。いずれもこのブログで紹介済なので興味ある方はぜひブログ内検索を

*3:アルバムタイトルを直訳すると「花柄の(大脳)皮質」となる。これの意図はよくわからないが、灰色+赤というジャケットデザインはまさにテーマに合致している。