Psykelopedia

サイケデリックトランスやゴアトランスの曲やアーティストをおすすめします。

【2023年版】サイケデリックトランス・ゴアトランストラック20選!

遅ればせながら2023年の個人的ベストトラックtop20をレビューしていこうと思います。

 

20. Elijix - Hipnotica

後半で紹介する別の曲と同様Odivaからのリリースということで、ポップな歌詞利用は不可避なのですが、2010年代のミドル系プログレの重厚なベースラインと20年代以降の重めのプログレベースを共通のメロディーでシームレスに繋ぎ合わせて曲としてまとめ上げている点は特別に映りました。Vini Viciがいなければこうした曲も生まれることはなかったでしょうね。

 

19. DMnT - Mescaline Dream

保留中の電話のようなアクセントが裏で糸を張り詰め、その上で技巧が舞い踊るイメージで、あまり見ないスタイルのゼノネスクでした。DMnTは他にも良い作品をリリースしているので、もう少し溜まってきたら単独で記事にしようと思います。

 

18. Atomic Pulse - Spirit Of Wisdom

重厚なベースラインから生み出される駆動力と無理のない上層音付加で堅実なビルドアップをしている作品です。特に4:10からの再展開はSimple is bestを体現していて、その程度感の的確な見極めはMindbenderzと肩を並べるといって良いでしょう。

 

17. Cosmic Flow & Originals - Stitch

Originalsが入っているということで、当然ながらクレイジーな仕上がりとなっています。Cosmic Flowも近年はマグネティックなスタイルの研究に勤しんでいて、そのwackyなサウンドに磨きがかかっていると思いました。お前らこんなんでも踊れるだろと、ちょっと人を馬鹿にした感じがたまりませんね。

 

16. Egon’s Embrace - Every Way to Smile, Forget, and Make-Believe

ダークサイケといえば私はEgon’s Embrace一択なので、アルバムが出たら必然的にこのリストにもランクインします。トレードマークである独特のハイハットテクニック、圧倒的に長いタイトル、深さのある惜しみないベースラインも健在です。

 

15. Libra - Wellspring

一見不自然に聞こえる音の組み合わせが何故か気持ちいい、Libra臭がプンプンする作品です。プログレ作品で8分超えは滅多にありませんが(特にここ一年くらいで5分台まで縮まってきている)、10分を悠々と超えてくるあたり、まだまだ隠し球を持っていそうで実にいやらしいですね。私が特に好きなのは3:50からの展開で、棚に積んだ軽いおもちゃが崩れてくるような軽快さがあります。

 

14. Laughing Skull - Skull Candies

Aswaad Collectiveのアーティストは新顔が多いですが、オールドスクールゴアと現代的なプログレをぶつけた面白い才能が数多く眠っています。この作品もその中の一つで、縦揺れの強烈なキックはオールドスクールさながら、そのキックによって低音の膜を要所要所で確実に押さえ、力強い音の波を作り出しています。各所でちらつかせる303のアクセントもノスタルジックで良い仕上がりです。

 

13. Binary Bliss - Analog Ascent

安心感のあるオールドスクールゴアトランスです。アシッド音の原点回帰を掲げSuntripが企画したコンピレーションに収録されています。シンプルな曲展開の原因となっていた技術的限界はもはや存在しないと言えるわけですが、制約の中で生まれる美の場合は必ずしもその技術的制約は悪ではないと確信させられます。

 

12. Atmos & Skizologic - Time Travel

一方は北欧サイケの名手、他方は気鋭のプログレということで、中々に刺激的な組み合わせです。劇的な展開は案の定少ないですが、マグネティックな潮流と主に日本勢を中心に見られるアシッドへの回帰の動きのいいとこ取りをした作品としては完成度が高いなと思いました。Skizologicの触媒としての存在意義が強調された作品でもあります。

 

11. Ritmo - Owl Dance

マグネティックの研究を始めてからのRitmo作品は生き生きとしていて好みです。23年はアルバムを仕上げていて、その中に収録されている一曲がこのOwl Dance。アクセントとして挿入されるフクロウの啼き声と立体的な低音が生み出す浮遊感で心地よい酩酊感を味わうことができます。

 

10. Vorg - Metal North

マグネティックサイケの台頭と時期を同じくして、ゼノネスク方面でも低音を立体的に構築するスタイルが出てきましたが、当時のそのようなゼノネスクは上層音の技巧と低音の動きが互いに邪魔し合っていてピンとこないものが多かったように思います。それに相対してVorgのこの曲は低音の動きがしっかり生かされ、技巧も必要最低限に抑えられており、好感を抱かせます。中々巡り会えないですね。

 

9. Atlantis & Mindsphere - Beyond Infinity

ネオゴアトランスレーベルGlobal Sectよりリリース。Atlantisは直線上昇系の滑らかな展開を得意とし、Mindsphereは鋭い音を使って畳み掛ける構成を特徴とします。その彼らがコラボしたら当然ながらこの曲に至る、という感じです。序盤から疾走する確実に刻むメロディーがバッチリ嵌った見事な展開力、この一言に尽きます。

 

8. Triforce - Elixir Field

Triforceのアルバムより持ってきました。Triforceの音は小綺麗であまりサイケ的ではないのですが、ゼノネスク勢の中では曲に連続性を持たせている方で、トランス的要素は十分に持っていると言えます。この新作でもそれは健在で、使っているメロディーやテンポは最後まで一気通貫していて、連続的な変化だけで流れを見事に生み出している点、ポイント高いですね。

 

7. Captain Pastek & Brojanowski - end of days (Pastek edit)

深く切り刻むビートと鋭角に挿入された炸裂音を武器として早々にゼノネスク方面で地位を確立しつつあるCaptin Pastekの最新作です。曲の前半から惜しみなく挿入される拍と、これでもくらえとドヤ顔で投入されるカウベルの相乗効果で、一度聴いたら忘れられない強烈な一曲の完成です。2022年から進化はしていないですが安定のスタイルで堂々ランクインです。

 

6. EleexR - Everybody Lies (Torus Knot Believes In Humanity Rmx)

ゼノネスク系のレーベルとして地位を確立しつつあるSentimony Recordsからいくつか出てきた作品のうちのトップを張るのはこの作品で間違いないでしょう。Captain PastekやVorg、Neurolabzといった強烈金属系サウンド勢が台頭する一方で、この曲のようなSensient - Gorlitzerのような滑らかで優しい技巧には癒される部分があります。

 

5. ATIA - Sugar Drop

ATIAは独創的なスタイルで2022年から注目していたアーティストの一人です。2022年までは必ずしもサイケデリックとは呼べない作品が多く、テクノ系のアーティストという認識でしたが、2023年リリースのアルバムでサイケ性を掌握し、独自の解釈を提示したように感じました。音は無機的ですがリズムや連続的な変化・捩れの中には確かにサイケを見出せます。

 

4. Technical Hitch - 10.7 Memorial

Technical Hitchはハードコアなハイテクを作っている印象が強いですが、この曲では弔いの意を示す緊張感のあるイントロから入り、的確なピアノバースによって緊張を繋ぎ止めながら曲の終わりまで走り抜けます。この曲に関してはあまり語りすぎないことにします。

 

3. Modern8 - Alt + Ctrl + Del

Modern8はいやらしいアーティストでして、的確なタイミングで的確な曲をリリースする印象があります。ここのところはプログレ作品を多くリリースしていましたが(それらも中々にうまい)、この曲はその近年のプログレのタッチと、2000年代のフルオンメロディーをバランスよく融合させています。久々のノスタルジアに浸らせてくれる新作ではないでしょうか。

 

2. Actfill - Chasing Stars

2023年に顕著な流行を見せた、よりポップなオフビート系プログレ作品のうち、最も精巧に作り込まれた作品として2位にランクインさせました。もともと比較的シンプルな構成が好まれるスタイルに歌詞が乗るということで、音がごちゃごちゃしがちかと思いきや、充実した中音域とメロディーが複雑に入り組んで緻密に構築されており、驚かされました。

 

1. Earthspace & Klipsun - R.A.V.E.

そしてベスト作品はこれですね。Klipsunは2021年くらいまでは高度に詩的な作品で独特のポジションを誇っていましたが、2022年頃から徐々によりウケる方向へと舵を切っている印象を受けます。個人的にはあまりその変化は嬉しくなはいのですが、この作品はEarthspaceだけでは達成できない的確な中音域設計とインパクトがあり、新生Klipsunも悪くないなと思わせてくれました。Nano Recからのリリースであるのも興味深いです。

 

ランクインしなかった曲も含め、こちらのSpotifyのプレイリストにまとめています。よければ一緒にどうぞ。

 

新潟・石川では元旦早々大変なことになっております。皆様どうかご無事でありますように。

 

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