新しいサブジャンル「マグネティックサイケ」を提唱する
どうも、Psykeです。
実は最近、これは新しいサブジャンルではないか?と思われる、共通の特徴があるサイケ作品群があります。本記事では、その新しいサブジャンルかもしれないものを「マグネティックサイケ」として具体化し、特徴、従来の作品との違いについて、自分なりにまとめてみようと思います。
マグネティックサイケの定義
こちらの記事で、サイケデリックトランスと一部のゴアトランスで用いられる、サイケで用いられる一般的な低音の種類を解説しました。これらの基本的なパターンが使用されていれば、その作品がサイケだと言える根拠は9割方整います。
しかし最近、これらの低音の特徴に当てはまらない一方で、確実にサイケ性を帯びた作品群が台頭しています。それが今回私が提唱する「マグネティックサイケ(Magnetic Psytrance)」です。
マグネティックサイケの特徴を簡単にまとめると、このような感じになります。
- 2017年頃登場(Pixel・Mr.Whatの作品が最初期か)
- ローリングベースにはない独特の膨らみのあるベースライン
- オフビート・ギャロップ・トリプレット等とは異なる新しいリズム感覚
- 旋律性の抑制
- 金属性の強い、鋭い上層効果音
- 粘性はあるがさっぱりとした雰囲気
マグネティックサイケという名称にした理由として、以下のようなことを挙げさせていただきます。
- ベースラインからはオフビートのような上下方向の揺れとギャロップのような左右方向の揺れのどちらも感じられ、三次元的な自由度が感じられる
- グライドが効いた滑らかな音づかいから、大きな磁石の間で単振動的に揺れるような「磁場」「電磁波」のイメージが連想される
- 温かさと冷たさの両面を持っている
- DEKELの作品にMagnetoというタイトルのものがある
ということで、マグネティックサイケという名称は妥当だと判断しました。
マグネティックサイケの作品の例
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マグネティックサイケのアーティスト
以下のアーティストはマグネティックサイケのアーティストに分類されると思います。
- Coexist
- DEKEL
- Modus
- Mr.What?
- Originals
- Pixel
- Skizologic
- SOME1
これらの作品は「サイケ」か?
さて、これらを果たしてサイケと呼んで良いのか、という疑問を持たれた方もいらっしゃるかと思います。私がこれらをサイケとして分類可能とみなした理由は3つあります。
- アーティスト・レーベルの同一性...サイケを作るアーティスト、サイトランスをリリースするレーベル、これらからマグネティックサイケの作品がリリースされています。各々のアーティストが従来サイケとマグネティックサイケの間で何らかの接続を認めていることの現れかと思います。同じレーベル内、複数のレーベル間で、複数のアーティストが同時に共通のスタイルを模索していることも、サイケとして分類可能な1つの理由かと思います。
- 有機的・退廃的な雰囲気の共通性...サイケデリックトランスの特徴として、英語、特に外国語の深い意味のないボーカルがサンプルされたり、それらのボーカルがメロディーとして活用されたりする点が挙げられます。これらの性質はマグネティックサイケでも健在です。
- テクノとの相違...メロディーの不在、キックの重視という特徴から、これらの作品をテクノに分類することも可能かと思われました。ただ、私個人の意見としては、サイケがテクノに融合していく流れは現時点では2つしかないと考えています。1つは北欧系ミニマルサイケ方面(Son Kite、MVMB、Iboga Recordsらの動き)。そしてもう1つはオーストラリアのゼノネスクサイケ方面です。しかしこれら2つの流れでは、いずれも空間性を重視した極めて清楚な音づかいが特徴であり、上で示した作品に見られるような“粘り気”はありません。
このようなことから、私は上のような作品をマグネティック「サイケ」に分類するのが妥当かと思います。
皆さんはどう思いますか?これらの作品はマグネティックサイケとして1つのサブジャンルを形成していると言えると思いますか?