【2019年版】サイケデリックトランス・ゴアトランストラック20選!
どうも、Psykeです。毎年恒例、最新リリースの作品から個人的トップ20トラックを挙げていこうと思います!
20. California Sunshine & Har El - Deep Noise (Deeper Version)
ゴアトランスの名手Caliornia Sunshineの2人によるアルバムです。実にゴアトランスらしい過度に低音に依存しない進行力。ベースラインが作り出す水平方向の進行力に、強いキックによる上下運動も加わっており、堅いゴア的なオーラを醸し出しています。この堅さこそオールドスクールゴアトランスの醍醐味ですよね。
19. Zyce - Rising Lotus
強烈な重低音サウンドが特徴的なアーティストZyceの最新作です。なのですが、この作品では新しい方向に一歩を踏み出しているように思えます。曲全体を通して東洋風の弦楽器メロディーを維持し、BPMを変化させながら徐々に加速、最後には再びBPMを元に戻します。まさに朝に開き夕方に閉じる蓮の花のような優雅さを備えている作品と言えるでしょう。
18. SOME1 - Awake
SOME1(サムワン)はMindwaveの別名義です。SOME1では私が「マグネティックサイケ」と呼んでいるものに特化して作品を作っています。もともと独特な音づかいでMindwaveとしてもブランド力を持っていましたが、マグネティックな音づかいでもその才能を証明しています。メロディー力や低音の浅さの設計は、Mindwaveと同じく健全です。DEKELらHOMmega勢とどう競り合っていくかがこれからの見どころです。
17. DEKEL & Originals - Reflect
ということで、お次はそのDEKELが携わった最新作。同じくHOMmegaの新人であるOriginalsとのコラボ作品。全体としてはDEKELに寄せた作品のように感じます。3:06あたりまではDEKELを尊重した深いキックと粘着力のある音づかいによる展開。そこからはOriginalsらしい鋭い金属音を多用した上層音を添加しています。両者とも新しいサイケを切り拓く新進気鋭のアーティストなので、このようにコラボしてくれるだけでも嬉しい。SOME1やModusとの相互作用にも注目したいです。
16. Celestial Intelligence - Owl
私が最も好きなネオゴアのアーティストの1つCelestial Intelligenceが新アルバムをリリースしました。前作と比べて本作は激しさを抑制し有機的な雰囲気を増した作風になっています。前作はブチ上げ必須な単調上昇的なメロディーを多用していましたが、本作では、個々のメロディーラインをはっきりと現さず、音が散らばっていくような空間性を持たせています。
15. Coexist - Cluster One
プログレッシブサイケのリズム感覚の中にマグネティックな感性を織り込んだ、Coexistならではの作品です。キックとベースによって鋭く刻まれるリズムが心地よく、体を左右に揺らされます。重低音に強く依存した作品であることは間違いないのですが、適度な上層音メロディーで上手に飽きを防いでいる印象です。私の中でのCoexistの格が、Modusと同じくらいになってきました。
14. Protonica - Sojuz
シンプルイズベストを体現したような作風のアーティストProtonicaがリリースした最新アルバム「Symmetry」より。アーティスト紹介の記事で言及したEmergeのベースに似た、マグネティックで滑らかな膜状の低音が特徴的です。メロディーやベースラインは電波のように連続的な変化を見せます。宇宙の未知の領域への旅を続ける人工衛星のようなイメージを作り出してくれます。
13. Indra - Cobra
加速度のあるフルオンが得意なIndraがキックとドラム重視のプログレッシブなスタイルで仕上げてきました。Vini Viciのブームが一通り去った後の新しい形態として、この曲のように、民俗的なボーカルエディットと強力なキックが特徴のスタイルが出てきています。Major7 - SumaliやLost In Space - Mahadevaなどの作品と似ていますね。
12. Brojanowski - Water
水が流れる効果音のイントロ。強いキックを用いていながら、なぜか液体のような流動性を生み出しています。ボーカルサンプルが徐々に曇っていくような加工、そしてまた時折挿入される水の流動音。水中にいるかのような空間性を持っていますね。ゼノネスクサイケとしてのテクノ性と有機性をバランスしたという点で、Smilkに似た匂いを感じました。
11. Hedustma - Resonanz
MVMBなどとのコラボも果たしているテクノ系サイトランスアーティストHedustMAの最新アルバム「Forms 03」より。彼の作品にはもともとFlorian MSKに匹敵する空間的な深度があるのですが、ややテクノ色が強めだった前作のForms 02よりもさらにレベルアップした空間構成力が炸裂している作品です。空間的な深さとアクセントとしてのメロディーのバランス感覚も見事です。
10. Static Movement & Morten Granau Feat. Theona - The Gypsy Symphony
2月リリースのStatic Movementの最新アルバム「Simin」より。最新作は、清楚なメロディー・ボーカル術と音程のあるベースが健全な一方、Static Movementにしては珍しくオフビートが主体の構成になっています。アルバム全体としてオフビート的な色が強いことを考えると、Morten Granauの影響だけではないはずです。彼が試した新しいスタイルの中での最高傑作はこのThe Gypsy Symphonyではないかと思います。
9. Flowjob - Penumbra
キックやベースラインを抑えめに使い、上層から中層の音の層を分厚くし、流動的な仕上がりの作品を数多く作るアーティストFlowjobの最新作。この作品でも折り重なる数多くのメロディーで連続的な高揚感を生み出しています。そしてメロディーに漂っているメランコリーが実に素晴らしい。Flowjob作品の中で一番好きなトラックになりました。
8. SoundSpirit - The Truth
イントロで導入したメロディーの下にそのままベースを挿入する手法がオールドスクールゴアを連想させ、どこかノスタルジアを覚えさせるサイケデリックトランスです。小節単位で律儀に効果音を入れ替えていく硬さもそのイメージに結びつきます。最新のサイケというよりは、クラシックなサイケという印象を受けるのではないでしょうか?こういう作品も確かに聴きたくなりますよね。
7. Modus - Fluid
HoMMegaの期待の新人アーティストModusの最新作。独特な粘性のある重低音と上層音との微妙なズレで液体のように聴衆を揺らし楽しませてくれる作品です。個人的には彼の現時点での最高傑作はExpeditionだと思うのですが、ボーカルを切り貼りしてリズムに変換していくAstrixに通じるものを感じさせるという点で、この作品では新しいスタイルに目覚めつつあるのではないかなと思います。
6. Estefano Haze & Multiphase - Sungazing
Estefano Hazeは去年、Stayosと組んだ作品で一気に惹きつけてきたアーティストです。メロディーを豊かに使いこなしたプログレッシブサイケのアーティストで、特にメランコリックな雰囲気の作品でその技量が光ります。そういう意味でSungazingはまさにHazeの独壇場です。4:30過ぎからの、優しいベースラインに載せてメロディーが大空に溶けていくような効果が、実に優美な一作です。
5. Bubble - Sitar
水に絵の具が溶けていくような優美なギターサウンドが特徴的なダウンテンポサイトランス。曲の中でベースやリズムを多様に変化させていくのも独特です。ベースの音がかなり太いにも関わらず、曲全体としては優美で清楚な感覚を維持しており、1月リリースの作品の中でも不思議な存在感を放っていました。
4. I.M.D - Volando Alto
Volando Altoはスペイン語で、「高く飛ぶ」という意味らしいです。ダウンテンポ系のベースは、高速系のベースとは異なり、ゆったりと、でも確実に変化していく、地球の自転のような壮大な動きを備えることができます。こちらの作品で描かれるのは、まさに地球の運動を高いところから鳥瞰しているような世界観。高音域の鋭さを抑えた「Subdream - Beacon」といったようなイメージですね。
3. Egon's Embrace - Past Is A Prologue
ハイテクサイケは私の中でも好き嫌いがかなりはっきり分かれていて、Crazy Astronautあたりだとちょっときついなーとか思ったりするんですが、柔らかさがあって、かつ速度感と空間性が豊かという点では、VerticalやPetranに匹敵するセンスを持っているなと感じます。優先して掘ろうかなと。同じEPに収録されている「It May Have Been in Bits and Pieces…」も素晴らしいクオリティーでした。
2. LAVR - Core
ZenonのレーベルのコンピレーションシリーズSmall Talkに収録されているLAVRの最新作。蒸気機関車のような強烈な進行力を持ったベースラインとキックが魅力。ゼノネスクの1つの特徴として、多種多様な効果音を空間的に散りばめ徐々にリズムを固めていく構成があります。ベースラインの独自性はもちろんのこと、徐々にリズムを確定させていくLAVRの展開力を褒め称えたいです。久しぶりにゼノネスクに痺れました。
1. Stayos - Melosoul
キックが強い作風になりがちなオフビートですが、こちらの作品はその縛りの中で独特な浮遊感を生成したオフビートです。StayosはFlexusとのコラボ「Adventures」などでメロディー力を証明していますが、重い低音を用いたオフビートサイケでもそのメロディー力を発揮することができる稀有なアーティストとして、Day Dinに並んで今回私の中で地位を獲得しました。4:30から始まるメロディーは全盛期ゴアトランスを想起させる有機性と滑らかさを持っていて親しみを覚えます。
このブログでは毎月末に各月のお気に入りの最新リリースを紹介してきました。こちらのプレイリストに集約化されていますので、ぜひチェックしてみてください!
ついでに2018年のプレイリストも一緒にどうぞ。