Psykelopedia

サイケデリックトランスやゴアトランスの曲やアーティストをおすすめします。

多重解像度の緻密重奏【Tetrameth - Psychological Pyrotechnics】

Zenon Recordsより2006年リリースのアルバムです。Tetramethはサイケデリックトランスの流行りから一歩退いたところで悠々と独自スタイルを貫いているアーティストの一人です。その作品の特徴は、自由度の高い低音設計、エスニックな技巧、ボーカルサンプルの多用など様々ですが、このアルバムで特に光るのはメリハリをつけた緻密な深度設計で、解像度が高い層と低い層が重なって、交互に前面に出てきます。このアルバムではプログレッシブなスタイルでありながらもサイケデリックトランス的な連続性を確保したTetramethを楽しむことができます。

タイトルトラックを司るPsychological Pyrotechnicsは長さ13分と、トランス界の中でも屈指の大作。前半はこれぞTetramethといわんばかりのダブ成分の多い展開。9分過ぎからの滑らかな仕上がりはこのアルバムの特徴を体現するようで、DekelSuntreeなど今売れているプログレッシブアーティストをも内包する先進性があります。

Practice in Blacknessはこのアルバムで一番推したい曲ですね。左右にベースが転がっていくような、そして時小さく折飛び上がってくるような、緻密な技巧が光る作品です。膜の上で粒子が踊っているのが見えます。音の奥行き感はSuntreeに通じるところがありますが、Tetramethのこの多層的な作り込みはやはり格別です。変化の多いアーティストという印象が強いですが、この曲ではむしろ安定感が光り、Tetramethの魅力が一段階深化されると思います。

49th Vibrationが刻むリズムは、サイケ界隈の中でもかなり上位のかっこよさを誇る、独特なリズム感です。これだけ点の数が多いベースラインでも曲の中でしっかり存在感を保っているのが不思議でなりません。章節の最後の低音がブーンと張られているのが最高のアクセントです。5:40過ぎからの再展開も劇的でございました。

 

同じくZenonから出ているアルバムでは、他にもDr.StrangefunkやDreamstalker などが、これに似た有機的技巧を張り巡らせたアルバムになっています。いずれも紹介優先度は極めて高いですが、それらと比べてもまずはこの一枚からですね。 

 

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