みなさんお久しぶりです、Psykeです。
X(旧Twitter)のタイムラインで「今のプログレはほぼフルオン」というツイートをみてとてもしっくりきたのをふと思い出しまして、それについて書いてみようと思います。
プログレを語る時、私はこれまで4つに分けて語ってきました。
これを書いたのが2019年なので少し前ですが、このうち
に関しては、IONO Musicを中心に、ある程度元の性質を維持して続いていると思っています。逆に言えばやや停滞気味です。他方、
・ドイツを中心としたヨーロッパ勢力のオフビートサイケおよびその延長線上にある作品群
に関しては、SpinTwistとBlueTunes、Odiva Recordsを見ている限りでは、ボーカルを取り入れてポップな方向へと進みつつあり、サイケとはやや離れていく方向にあると思っています。
そして今回言及したいのは、
・イスラエルを中心とした勢力のバウンシーなベースラインを用いた作品群(マグネティックサイケ)
・技巧を特徴としメロディー性を削ぎ落としたダークな作品群
の2つです。いずれも潮流としては継続していますが、2023年末時点で、共通してフルオン的な色を帯びていく傾向が見られると思うのです。
・イスラエルを中心とした勢力のバウンシーなベースラインを用いた作品群(マグネティックサイケ)
に関しては、Modusが台頭した時点で確かにキャッチーなベースラインのテクニックは構築されていて、言われてみればその曲の展開はフルオン的な要素が多分に含まれていました。去年のUncharted Territoryの登場により、この系統に関してはフルオン的な潮流に合流しつつある感触が確かなものになったかたちです。
4DやJAmes Monroをフルオンと呼ぶかどうかは別ですが、プログレへの辟易に起因した連続性への回帰という意味では、彼らの新作EPも違う意味合いを帯びてきますね。
そして、
・技巧を特徴としメロディー性を削ぎ落としたダークな作品群
に関しては、Sentimony RecordsやZenon Recordsで人気を博しているアーティストとして、Eleexir、Triforce、Captain Pastek、LAVRが勢い付いている印象です。正直これらのアーティストは、テクノと言えばテクノ、サイケといえばサイケで分類し難いですが、EibergやAmblerなどの変則系と比べると、それぞれのレーベルの中でやはり「低音を止めない・変えない勢」が存在感を獲得しつつあります。BrojanowskiやSouroneもそれに乗っかっている印象です。
そこで改めて
を見てみると、昨年後半からDacru Recordsでモーニングフルオンへの回帰的なムーブメントが見られます。Modern8 - Ctrl Alt Del、Tropical Bleyage - Morning Heartが個人的には象徴的に思えました。いずれも明確に最盛期のフルオンを意識した豊かなメロディー性が特徴的です。
なので目下はIONOのムーブメントが気になるところですね。Altered StateやTranspose、IKONなどのアーティストは、フルオン的な方向に容易に舵を切れる位置に居るものの、現時点ではそのような方向には進んでいません。ただし、彼らがそちらに舵を切ったならば、「2010年以降のプログレはベースラインをアップデートしたフルオンに収束した」と位置付けることがほぼほぼ可能になると思います。それはそれでなんだか虚しいので、それまでに新しいベクトルが出てくることを期待して、これからも新作を探していこうと思います。
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