Psykelopedia

サイケデリックトランスやゴアトランスの曲やアーティストをおすすめします。

霞んだ青空の無表情【Oforia - Read More】

どうもPsykeです。お盆休みの記事消化戦に入っています。そのアルバム紹介第一弾ということで、CoronaやRe-Transmissionなど、示唆的なタイトルが多かったため、パンデミック初期に一瞬話題になったりもした、Oforia - Read Moreを紹介しようと思います。

Oforiaは最近Noorという名義で有機的な雰囲気のアルバム*1を出していましたが、多様なスタイルをこなしたり新しく作り上げたりする多彩さと、緻密な音圧制御や調和の取れたマスタリング技術を持ち合わせたアーティストです。Oforia自身としての活動だけでなく、Space Catと組んだIndoorというゴアトランスユニットも非常に有名です。そういえばIndoorのアルバムも既に一つ紹介済でしたね。

イスラエルと日本の合同レーベルZion604からリリースされたこのアルバムはCD二枚組で、「Early Reading」と名付けられた二枚目にはOforiaが関わったやや古い作品のリマスター版などが収録されています。今回紹介するのは一枚目の方で、八曲全てで通底したテーマが追求されています。ここまで統一感のあるアルバムも珍しいです。ジャケットで表現されているような「少し霞んだ青空」という表現が私には一番しっくりくるのですが、比較的清楚なメロディーと整頓された低音によって描かれる、あまり主張のない空間性が逆に魅力的に思える作品です。そういうアルバムだからこそ、Oforiaの技術力を観察するにはもってこいのアルバムですね。

例えばCoronaでは、深めの低音とその少し上で弾かれる浅めの低音によって、軽快でありながら重厚でもある絶妙な深度がデザインされています。それで以ってこの強烈な牽引力を生み出せるわけですから不思議なものです。個人的に好みなのは6分過ぎから現れるシンプルな効果音です。必要十分の最低限という感じがして、抜群のセンスを感じざるを得ません。

4曲目のThe Blueは、まさに冒頭で述べた、少し霞んだ青空感がよく出ている作品です。アルバムの中でもこの曲のメロディー性が一番好きだったりします。一つ一つの音が整頓されていて非常にスッキリした聴き心地ですが、やはりどこか無表情で、色彩性はあまり感じられません。空は青色といえどそれを構成する空気自体は無色透明、なんてことを連想させる作品です。

そしてアルバム最後のMad DMAは、アルバムの中でずば抜けて、というわけではないものの、プログレッシブな方向に舵をきった作品です。これもまたメロディーが綺麗な作品ですね。特に3:30過ぎに登場する充実したアルペジオとその後に添加される低音がかち合ってカオスにならないのは不思議で、やはりOforiaの技術力の賜物ですよね。

Oforiaはアルバムごとに結構作風が変わるアーティストで、Read Moreで醸し出される雰囲気も、他のアーティストはおろかOforiaの他のアルバムでも聴けないものとなっています。特にこのアルバムに関しては、一曲でも好きだと思ったらアルバムで買う価値がありますね。

 

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