身体を支配する人工心臓【Beat Bizzare】
最近のプログレッシブサイトランスは、ベースラインとしてギャロップを頻繁に用い、ベースライン以外の部分で魅せることが主題になっています。
今回紹介するBeat Bizarreは、その真逆。ベースラインへの執着が非常に強く、特徴的な作品を作るアーティストです。
Beat Bizarreとは?
Beat Bizarre(ビート・ビザー)は、1999年にデビューしたデンマークのユニット。設立当初はMartin ZimmermannとRené Nielsenの2人で活動していましたが、その後Nielsenが離脱し、現在はZimmermannのみで活動しています。
Beat Bizarreの作品の特徴は、圧倒的な持続力のある型破りのベースラインです。サイケのベースラインにはいくつかの基本パターンがありますが、Beat Bizarreはこれらを滅多に用いません。10分を超える曲でも悠々と乗り越える持続力もあります。
ベースラインの構築力にかなりの自信を持っていると思いますし、曲を聴くと自信を持ってしかるべきだなと感じます。
それでは、オススメの曲に参りましょう!
Beat Bizarre - Blown to Smithereens
2017年3月リリース、12分を超える大作。極圏のオーロラを想起させる滑らかな音の中から、自慢のベースラインが始まります。キックとベースとハイハットと効果音が複雑に組み込まれながら、ベースラインをどんどん豊かに膨らませていきます。
重厚で安定した低音の一方、上層音は自由に遊ばせ、豊かな空間性と滑らかな変化を演出。6:00で一度ブレイクを迎えますが、ここで最初のオーロラ的な音を蘇らせ、幻想的な雰囲気で最後まで曲を仕上げてくれます。
Beat Bizarre - Monocrome
音の足し算だけで構築されたような一見単純な構成の曲ですが、だからこそBeat Bizarreにしか作れない作品ではないかと思います。キックと低音は序盤から変わりませんが、微妙に効果音を変えていったり、音を一つ加えるだけで一気に面白いリズムを形成したりして、やはり聞き手を飽きさせない曲を作り出します。こういう作品は相当な自信がないと作れないと思うのです。聴く側の我々の感性が試されているような気すらしてきますね。
Beat Bizarre - Myokymia
2015年リリースの6thアルバム「Maunder Minimum」に収録された曲。Beat Bizarre史上最も奇抜なベースラインだと思います。序盤からそのベースラインが全開です。ランダムに聞こえるベースですが、よくよく聴くと、どうやら長いスパンでループしているらしいことがわかります。こんなベースは他では聞いたことがありません。奥深い作品です。
ベースライン以外でも、金属と金属が擦れるようなクセになるシンバル、振った炭酸のようなアシッドなサウンドなど、いろんな意味で魅力的です。
Beat Bizarre - Dip Switch
昨年11月リリースのBeat Bizarreの作品です。最近はやりの立体的な膨らみのあるベースラインを実験している作品です。
もともと彼はベースラインが得意なので、彼が流行を取り入れた先にある作品像は個人的に楽しみです。ただ、Beat Bizarreの作品は一般的なプログレッシブサイトランスのアーティストと比べるとブレイクが少なめで、ゴアトランス的な継続性も継承していると思います。そのブランドを崩すのか崩さないのか、注視したいですね。
Beat Bizarre - Save the Cheerleader, Save the World
2008年にリリースされたEPより。私が最初に惚れたBeat Bizarre作品です。有機的な音使いと妙にフラットな効果音が面白い曲。4:30で、そこまで曲を牽引してきたリズムが曲から離脱し、オフビート的なタッチに変換されます。もちろん、ベースラインも独自のものを使っています。最近のトランスはベースライン以外で魅せる傾向が強いので、10年前の作品といえど新鮮味があります。
それにしても、なんなんですかね、このタイトルは。笑
サイケっぽくないという印象を持たれた方もいらっしゃるかと思います。ビートは遅め、ビュンビュン飛び回るような音も入っていません。しかし、それこそがBeat Bizarreの良さなんです。
もうすぐ100記事。まだまだ書いていきます!
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