Psykelopedia

サイケデリックトランスやゴアトランスの曲やアーティストをおすすめします。

新古典の新鮮な息吹【Ree.k - Early Tracks 1】

どうも、Psykeです。今年初の記事は我らがRee.kについて書いてみようと思います。

実は去年の10月、Ree.kとTsuyoshi Suzukiについて書いてほしいという依頼をコンタクトフォームにいただいていました。日本人アーティストについて書きたいとは思っているのですが、なんせ彼らも日本人ゆえ、下手するとこの記事ご本人に読まれてしまうのでは?とか自意識過剰なことを考えて気が引けていたのです。まあ今回はRee.kのアーティスト紹介というよりはアルバムレビューですが、思い切って書こうと思います。

さて、Ree.kは色々なところで作品を目にしてはいたものの、どうも掴めていなかったアーティストでした。今回紹介するこのアルバムは、2019年にリリースされたもので、私が初めて聴いたRee.kアルバムです。比較的速い曲が集められている一方で、95年にリリース*1されたアルバム「Yamataikoku」はBPMがやや遅めだったりして、中々特徴を掌握させてくれないなぁというのが正直な感想です。それでも特徴として一つ言えるのは、今の日本のサイケデリックトランスの特徴にも通じる堅牢な構成と展開でしょう。ただ、お堅い感じではあるものの、ジャケットのデザインがそうであるように、精緻なセンスもしっかりと感じさせてきます。1995年から1998年の間に製作されたトラックを集成している*2そうですが、本当かよ?もっと新しいんじゃ?と疑問に思いました。これは個人的な解釈ですが、いわゆるオールドスクールゴアトランスではあるものの、現代のネオゴアトランスとも親和性の高いトラックを抜き出して構成されたアルバムではないかと思います。

このアルバムで私が一番好きなのは7曲目のWiggle Peanutですね。この曲、使っている音のタイプはまさにクラシックなゴアトランスですが、そのエネルギッシュな勢いはむしろネオゴアトランス的で新鮮な印象を与えます。現代のネオゴアというと全音域から聴覚を攻める濃厚なスタイルが目立ちますが、音数を少し絞ってもなお似た勢いやエネルギーを保持しているこの作品には驚かされました。

ファーストトラックを飾るTrinoidsも似た感想を抱かせる作品です。この曲はどちらかといえばオールドスクールゴアトランスらしさをゴリ押ししてくるタイプに思えました。キックの強度やメロディのスピード感はFuture ProphecyやDimension 5を連想させます。一方でそれらのアーティストがそうであるように、303頼みにはせずにメロディーもしっかり付与しています。

最後に紹介したいのはセカンドトラックのSubconscious Mind。他のトラックとは趣を異にしていて、NervasystemやShiftやその他南アフリカ産サイケ、北欧サイケを彷彿とさせる低音とミニマル性です。今でこそそういう整理ができますが、もしこれも1995年から1998年の間に出されたとするなら、当時は結構新鮮だったと思います。日本産のゴアやサイケのアーティストからこのスタイルが出ることは稀ですしね。

 

ということで、Ree.kのEarly Tracks 1を紹介しました。ここまで書いて改めて思うのですが、このアルバムはMan With No Nameのそれにも近いですよね。別の記事でも書きましたが、Ree.kも持ち合わせているこの堅さは日本の現代サイケの強みそのものでもあるので、まだまだ活躍してくれそうな感じがします。

 

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