サイケデリックトランスは、縛りの強いジャンルです。アーティストは自分の特徴を売り出していかなくてはなりません。そういう意味で、クセが必要になってくるのです。今回紹介するMindwaveは、ちょっとクセのあるアーティスト。
Mindwaveとは?
Mindwave(マインドウェーブ)、本名Anton Maikoは、1985年生まれ、ロシア出身のアーティスト。幼い頃にイスラエルに移住しています。彼が作曲を始めたのは13歳の時。その後イスラエルで音楽学校を卒業し、DJとして活動を開始しました。本名Anton Maikoの名でも最近活動を開始し、主にIONO Musicのレーベルで活動しています。
彼の音の特徴は名状しがたいのですが、1つ言えることがあるとすれば、低音に縛られないこと、曲展開が非常に滑らかであることが挙げられます。
サイケには典型的な低音が何種類かあり、大体のアーティストはその低音をベースに曲を展開していきます。しかしMindwaveは、そのようなある意味迎合的なことはあまりしません。
それでは、オススメの曲に参りましょう!
Mindwave - Ancient Code
清楚なドラムからのスムーズな美しい展開で魅せる一曲。四つ打ちでもトリプレットでもない、特徴的なベースラインを用いています。
徐々に音を現していきながら密かに曲を盛り上げていくスタイルはやはりかっこいいですね!
Mindwave - Voyager
普通の低音を用いていますが、今回紹介する3曲の中では最も美しい曲かと思います。
ジャケット画像は宇宙空間ですから、人工衛星のボイジャーをイメージしているのかもしれません。未知の神秘的な空間を航行しているような雰囲気を豊かに演出してくれます。
Mindwave - 369
印象的なのは、池の底から泡が湧いてくるような、動きのある独特の低音。この低音って結構扱いが難しいんです。
サイケは重低音とそれ以外の音からなるシンプルな構成が基本です。しかし、このように音階を行き来する低音はそのバランスを崩しかねないため、使いこなせるアーティストはそう多くはありません。
Static Movement & Mindwave - Sources
IONO Musicの大御所、Static Movementとのコラボ曲。メロディー力のあるStatic Movementと、低音マネジメントの得意なMindwaveによる、新しいサイケデリックサウンドです。
369にも似た、動きのある低音。Mindwaveは最近このような低音にこだわっています。
Anton Maiko - Insomnia
こちらはAnton Maiko名義のダウンテンポな一曲。アンビエントとまではいかないものの、非常に落ち着いた神妙な雰囲気で、ゆったりと曲を展開していきます。優しい音の雨を浴びるような、清潔感のある曲です。
Mindwave - Dreamer
Mindwaveならではの立体的なベースラインが、空間的な深さをもって立ち上がってくる作品です。キックを後ろに後退させて空間の奥行きを定義し、必ずしも明瞭でないメロディーを用いながら、全体像を掌握しきれない夢のような空間を構築します。音数の少なさでもってこの進行力を発揮しているプログレッシブサイケはレアです。ProtonicaのPlanet Gaiaに通じる洗練美がありますね。
なんとなくですが、Mindwaveは日本人ウケが良いのではないか?と思います!あまりうるさくない、整った印象が、僕の日本人的感性と結構合致しますね。
Mindwave好きの方にオススメ !