研ぎ澄まされたリズムセンス【Sensient】
サイケデリックトランスといえども、結局はダンスミュージック。
ですが、そんなサイトランスを表現として昇華させ、新しいジャンルを構築したアーティストがいます。それが今回紹介するアーティスト。新たな「空間」へようこそ。
Sensientとは?
Sensient(センジエント)は、オーストラリアのアーティスト。Zenon Recordsというレーベルを2003年に設立しました。彼はこのレーベルでゼノネスクという新しいジャンルを生み出しました。別名ミニマルサイケとも呼ばれ、次のような特徴があります。
メロディーが無い...基本的に一定なベースラインの上に、不規則に機械音などが重ねられます。ゴアやダークサイケの現代版と言ってもいいかもしれませんが、それらほどの音の数はありませんし、それほどうるさくありません。
音響...どんなサイケもどこかしら病的な部分がありますが、ゼノネスクの場合、空間制御への拘りが異常です。ミニマルと呼ばれるだけあって音の数は少ないのですが、音響はめちゃくちゃ拘っています。IDMと共通する部分がありますね。
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Sensient - Northern Lights
オーロラがテーマの曲というと、流れるような優美なものが連想されます。しかし実際の現象は、素粒子と原子の間で起きる点的な現象。Sensientはオーロラのそんな性質を捉えました。ミニマルな音が醸し出す雰囲気・空間性と、切り刻むように調整されたベースライン。静かな夜、素粒子の雨が降り注ぎます。
Sensient - Gorlitzer
是非聞いてほしい。とても整っていて、うっとりしてしまいます。Sensient的なミニマルな雰囲気を保ちながら、ベースラインの左右へのパンを効かせ、その間を縫うようにメロディーが織り込まれていきます。曲の真ん中の変化のさせ方もSensient特有です。とても美しい。これほど美しい空間はなかなかありません。
Sensient - Sanctified
Youtubeに無かったため危うく入手し損ねた、まさに秘境の名曲。空間制御を得意とするSensientのテクニックは、このようなアンビエント曲でも存分に発揮されます。
氷、あるいは星の瞬きともいうべきメロディー、そして重低音の風。北極圏の星空、という感じでしょうか。アンビエントミュージックの大家たちにも引けを取らないクオリティーです。
ゼノネスクはサイケデリックトランスの中ですらマイナーなジャンルですが、非常に質の高い作品が数多くあります。動画再生回数が本当に少なくて勿体無いです。ぜひ聞いてみてください!
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