Psykelopedia

サイケデリックトランスやゴアトランスの曲やアーティストをおすすめします。

ミニマルなサイケデリックトランスの系譜

どうもPsykeです。この記事はプログレッシブと呼ばれるジャンルの一つであるミニマルなサイケについて、自分の知っている内容を整理しようと思い、延々と書き出してみたものです。主観も入っているので割り引いてお読みくださいね。

 

北欧での動き

現代のゴアトランスがSuntrip勢力を中心としているためか、今はゴアトランス=メロディーというイメージがありますが、オールドスクールゴアトランスの時代にはむしろアシッド性を強調したメロディー的とは言えない作品の方が多かったようです。そこから1990年台後半サイケデリックトランスが出てくるのですが、そんな中でもミニマルな色彩で存在感を発揮しだすのが北欧勢力です。Digital Structures、Iboga Records、Spiral Traxなどのレーベルを舞台に、Ticon、Beat BizarreSon Kite、Etnoscope、Atmos、Human Blueなどのアーティストが台頭、アシッドの汚さを排除した清楚なスタイルを作り出し、後継のアーティストに大きな影響を及ぼしました。

その後各レーベルはそれぞれ別の路線を歩み始めます。

Spiral Traxは2010年ごろに活動を停止*1し、その後Geomagneticの傘下に入りミドル系プログレッシブを扱うレーベルとして道を歩んできました。

Digital Structuresも2010年頃に活動を停止後*2、Perfect Strangerを新たなリーダーに据えて、北欧に囚われずにプログレッシブミニマルを追求するレーベルとなりました。

Ibogaは2010年代後半に入ると、Ace VenturaやCaptain Hook、Major7、Vini Viciなどイスラエルのアーティストを積極的に取り込みながら、プログレッシブサイケを牽引する主要レーベルの一つに成り上がってきました。今でこそあまり見えてこないIbogaのテクノ・ミニマルなアプローチは、ミドル系のサウンドとミニマリスティックな北欧スタイルを融合させた「MVMB - The Sleeper Must Awaken」を最後に一つの区切りを迎えたと言って良いでしょう。IbogaのリーダーでもあるMichael BanelとMartin Viceが組んだMVMBは、この後テクノに転向する兆候を見せます。Iboga Techというサブレーベルの設立により、テクノ的なアプローチはIbogaから切り離され、Iboga本体の作品たちにも通ずるメロディックなテクノがリリースされています。現時点でのMVMBの最新作「Phase :01」もIboga Techからのリリースとなっています。

アーティストでいくと、TiconとBeat Bizarreは現役で、特にBeat Bizarreは北欧ベースの硬めのスタイルを維持していますが、それ以外は活動を停止しているか、別のスタイルへと方向性を転換しているように思えます。

 

北欧の外での動き

特に2000年代後半からは、他の国でもミニマルなサイケデリックトランスの追求が始まります。2003年にZenon Recordsを創設したSensientはインタビュー*3で、Spiral Traxの創設者であるDJ Antiや、Sun Control Speciesなどの影響を受けたと述べています。Sensient自身、サイケ性を維持したミニマルサウンドを今も忠実に追求している数少ないアーティストです。

レーベルとしてZenonは、初期に擁したTetramethやその弟のShadow FXなどの、技巧系トライバルとも換言できる「bush系」の系譜をBush Foodのコンピレーションとして引き継いでいるほか、テクノ的方向性追求するSmall Talkシリーズ、そしてPermutationsシリーズに代表される、技巧を凝らす路線を基軸としつつもプログレッシブなベースラインを取り入れた実験的なアーティストを多く擁し、器の大きいレーベルへと成長しています。

2006年*4にはウクライナにSentimony Recordsが立ち上がります。といってもテクノ・ミニマル的な色が強く出てくるのはコンピレーションFuturedシリーズが登場する2017~2018年以降で、それまではサイビエントやダウンテンポを扱う、趣向の違うレーベルでした。この路線のレーベルとしてはまだ若いのですが、Vorg、Paracozm、Souroneなど、Zenonでも活躍しているアーティストがリリースしており、力をつけてきています。 

 

その他にもインドのOcculta RecordsやオーストラリアのWeapon Recordsがミニマルなアプローチをとっていますが、やはりリリースの多さ、層の厚さからして、現代の中心勢力はZenon Recordsと言って良いでしょう。実際このジャンルは一部の界隈でZenonに因んでゼノネスクと呼ばれています。また、プログレッシブトランスは大きく分けて3つの方向性があると思っていますが、それらの中でもZenonの目指す方向性は特に今後も発展が期待できる分野ではないかと思います。

 

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