霧の中を永遠に彷徨う【Daniel Roeth - Nothing Nobody Never】
どもども、Psykeです。いやあ、いい意味で忙しくて、マジでブログ書く時間がとりづらい。というか最近めっちゃ色んなアーティスト日本に来てますよね。畜生、行ければよかったのに…
さあ、気を取り直していきましょう!
- Daniel Roeth - Nothing Nobody Neverについて
- Koan - Aia's Tears
- Daniel Roeth - Napy And Neep
- Daniel Roeth - Shikoda
- この作品に似た作風のアーティスト・作品
Daniel Roeth - Nothing Nobody Neverについて
Daniel Roeth(ダニエル・ロース)は本名Roman Alexeev、ロシア出身のアーティストです。Koan(コアン)という非常に有名なサイケデリックトランスユニットのメンバーでもあります。
最近のKoan作品ではDaniel Roethの色が引きがちですが、このアルバムでは、Daniel Roethらしい濃厚で充実した情景描写力・空間構成力が徹底的に発揮されています。
アルバムのタイトルからわかる通り、決して明るい曲の多いアルバムではありません。むしろ、圧倒的な陰鬱さ、永遠に脱出できないように感じられる深淵のメランコリー空間を体現した作品として仕上がっています。
Daniel RoethやKoanの曲の名前に登場する人名や神名は、調べても分からないようなマニアックなものばかり。このアルバムも例外ではありません。でもそれが彼らの世界観の独創性を高めている気がしていて、そこまで含めて作品としての表現の完成度が高いのかな、なんて思ったりします。
それでは、その世界観をご賞味あれ。
Koan - Aia's Tears
豊かなギターメロディーが特徴の、滑らかでメランコリックなダウンテンポ作品。Koan本来のトレードマークともいうべき、吹き荒れる嵐の風のような強力な重低音パッドが挿入されます。
そして何と言っても3:10での変調が素晴らしい。もともとそんなに明るい雰囲気の曲ではありませんが、ここで一瞬、曲を少しポジティブな方向に進めると見せかけて、逆に悲壮感を増やしていく。脱出口をチラつかせて封じ込める、逃げ場のないメランコリーを体現しています。
Daniel Roeth - Napy And Neep
環境音重視のイントロから展開される、これまた実に陰鬱な情景作品。霧立ち込める森の中、草木の葉の先から水滴がしたたり落ちるような、音が単純に音階を行ったり来たりするだけのシンプルなメロディー。そのまま曲が進んでいき、中盤あたりから、霧の中を弦楽器による豊かな音の雨が貫通してきます。
豊かなディレーとリバーブでこだまする効果音が空間の広がりを演出。霧に包まれた森の中から永遠に抜け出せないかのように感じさせる、絶望的な雰囲気を醸し出します。
Daniel Roeth - Shikoda
非常にゆったりとしたギターのサウンドを主軸に展開する空間作品です。曲を通して、使っている音や基本的な音の流れは変わりませんが、拍の位置とメロディーが不規則に配置されており、時間感覚やリズム感覚を狂わされ、これまた永遠のメランコリーを体験させられます。
一応盛り上がるような展開になっているのですが、メロディーが陰鬱なので、盛り下がるという表現が妥当かもしれません。上がる!と思わせておいて上がってくれない、盛大な焦らしプレイを経験させてくれます。
Koanは非常に多作なユニットとして有名で、派生ユニット・別名義ユニットも含め、この作品以外にも非常に完成度の高い作品が多いです。追って紹介していこうと思います!
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