サイケデリックトランスは基本的にアンダーグラウンドですが、数年ごとに非常に人気を評するアーティストが登場します。
今、サイケ界隈で最も人気のアーティストといえば、問答無用でVini Viciでしょう。今回はそのVini Viciのうまさについて、オススメの曲を紹介しながら語っていこうと思います。
ビートの変化による新たな楽しませ方
サイケデリックトランスでは、曲を通して一定のベースラインが用いられるのが一般的でした。ですが最近では、ベースラインにも多彩な変化が導入されるようになってきています。Vini Viciは、ベースラインの変化を究めています。
彼らの曲では基本、開始三分の一くらいのところにブレイクが挿入され、そこでビートがリセットされます。この曲だと、ちょうど3分のところですね。
ビートを一定時間続けたのち、ボーカルだけを残して低音を一度落とし、そこに低音を付け加えるかたちでドロップを仕留める。このような変化はVini Viciのトレードマークとなっています。これがVini Viciなりのサイケ感であり、人気の秘訣です。
サイケ界隈ではこういう曲構成を真似ようとするアーティストが続出していますが、センスの面でやはりVini Viciに差をつけられてしまっています。
気持ち悪さの再解釈
サイケである以上、一定の気持ち悪さ、有機性が備わっています。こうした性質を完全に排除してしまっていたら、Vini Viciは全く人気にならなかったでしょう。
ゴアトランスはインドの文化を引用・体現していますから、サンスクリット語の歌詞や概念が頻繁に用いられました。Vini Viciもこうした流れはしっかりと汲んでいます。Arminとのコラボ作品であるGreat Spiritも、おそらくですが、アメリカ原住民の概念を引用していると思います。国や地域は違いますが。
センスはやはり抜群
彼らの曲は、純粋に、めちゃくちゃノれるんです。時代の潮流を読んだとかそういうことではなくて、ドラムの挿入位置、ボーカルの編集、曲のテーマ設定などに関しては、天賦のセンスが備わっているとしか思えない部分があります。
ゴアや一昔前のサイケに親しんでいる人からすれば、Vini Viciのスタイルは外道ともいえます。しかし「Vini Viciはなるべくして人気になっている」ということについては、皆が認めざるを得ないと思います!
他にも、こんなアーティストが人気です。